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ICT教育が変える日本の教育の未来 ~一般社団法人 ICT CONNECT 21 会長 赤堀 侃司 先生インタビュー(前編)

ICT教育が変える日本の教育の未来
~一般社団法人 ICT CONNECT 21 会長 赤堀 侃司 先生インタビュー(前編)


(左から EDIX事務局 花籠良、赤堀侃司氏、EDIX事務局長 大久保 直博/EDIX企画・運営 RX Japanオフィスにて)
一人一台の端末が導入され、コンピュータを学校で使うことが当たり前となりました。今のようにコンピュータが学校に導入される以前からコンピュータと教育について研究されてきた一般社団法人 ICT CONNECT 21 会長 赤堀 侃司先生にお話を伺いました。

Q.赤堀先生のご経歴をあらためてお伺いできますでしょうか

私は静岡大学で物理を勉強しまして、その後赴任した静岡県の高校でたまたまコンピュータに出会いました。FortranとかCOBOLだったのですが、とても楽しかったことを覚えています。当時、コンピュータを教育に取り入れるということは誰もやっていませんでした。そこでコンピュータと教育について論文を書いたところ、それが論文誌に掲載されました。私のように高校の教員をしながら論文を書いているのは珍しいというのもあり、東京学芸大学に誘われたことがきっかけで、大学講師・助教授になりました。
その後、東京工業大学 助教授・教授、白鴎大学 教育学部長・教授となり、そして現在は一般社団法人ICT CONNECT 21会長をしています。


Q.さまざまなご経歴がある中で、一番記憶に残る仕事や出来事について教えてください

ここ最近で印象的なものは、やはり教育にコンピュータというものが取り入れられている今の姿ですかね。高校の教員をやっているときに、まさかコンピュータと教育がこういう姿になるとは思っていませんでした。当時から私にとってコンピュータを使うことは、別に難しいものではなく、趣味みたいなものでした。だから、こんな風に世の中で広がるとは思っていなかったのでびっくりしましたね。
今でこそ、GIGAスクールの影響で教育にコンピュータが取り入れられていますが、やっぱり教育は、最後は人間だからと考えているところがあります。こうした業界の背景もあるので、それほど広がるとも思っていなかったです。

二つ目は、不登校の生徒がメールを通じて、学校に来れるようになったことです。20年くらい前の話ですが、ある自治体で不登校の生徒に対し、週一回の教育センターへの登校が指導されていました。それでもなかなか来られないということで、電子メールを活用してどうにかできないかという話がありました。学校からパソコンを貸し出して、そしてメールでやり取りするような形で。とりあえずは繋がりができるのでいいんじゃないかと言われて、やることとなりました。当初、私は難しいだろうと思ったんですが、やってみたら、10名くらいいた不登校の生徒全員が登校するようになったんです。しかも、その後、自分の希望する高校に行った生徒もいました。
校長先生もそんなことあるのかというぐらいびっくりして。それで理由を考えました。メールの内容をすべて分析するんですよ。どんな内容をやり取りしたかと。そういう研究をやっていて、興味深い事例がありました。ある生徒がお父さんに「自分もたまには家族で旅行に行ってみたい」と言ったところ、お父さんがびっくりして、そんな簡単なことはすぐに言えと。それでその週の土曜日、家族で旅行に行ったそうなんですが、それがきっかけでその子もすぐ不登校が改善しました。その話を聞いて、なるほどと思ったのは、その子は最初、自分の父親の会社にメールを出したんです。お父さんはそんな簡単なことなんで俺にすぐ言わないんだと言ったんですけど、言えないから不登校になったんですよね。言えたら不登校になっていないんじゃないかと。キーボードだったから言えたということなんですよね。そういう例がたくさんありました。こういう子どもにとって対面で伝えるのはものすごく大変ですが、メールだったら本心が言えたということです。
当時、専門のカウンセラーですら、不登校を治せないのに、どうしてコンピュータが治せるんだと、反論もありました。でも、メールがきっかけとなって、対面でもだんだん言えるようになったんです。結局メールなどメディアというのは、使い方次第ですね。メディアをうまく取り入れることによって、本当に本心が言えて、それで学校に通うようになり、希望の高校にもいけるとなったという事例です。その反面、ネットいじめが起こるという可能性もあります。だから、メディアそのものがいいとか悪いとかではありません。メディアをどう活用するか、やっぱり光にも影にもなるということを、その時に勉強しましたね。

もう一つ、ツールを使った興味深い事例がありました。仕事の関係でいった所沢の中学校で、ノルウェーで開発されたKAHOOTというツールを使って英語の先生が授業の最後にクイズをしていました。
単純なクイズなんですが、今日勉強した内容で先生がクイズを作って、生徒も自分の端末でそのKAHOOTにアクセスします。プロジェクターで選択問題を投影して、それで答えは1とか2とか3とかを出して。要するに早押しクイズです。回答は早ければ早いほどよくて、正解であればすぐ集計してくれます。1位、2位、3位まで表彰台があって、かなり盛り上がります。そして、名前も本名ではなく愛称をつけたりして、よこちゃんとかね。
今日、授業で習った過去分詞の問題を何問も最後に出して、みんなで覚えるわけです。中学生は、やり方をすぐ覚えます。私も見ていたらスマホで先生もやってみてくださいと言われて、ダウンロードして簡単にできたんですが、やっぱり中学生はこういった新しいものが嬉しいんだと思います。紙でもありますよ。紙のカードで、 I play tennis とか I play baseball とか。でも早押しクイズになった途端に、目の色が変わる。あるKAHOOTを使った論文を読んでみたら、ただおもしろいから学力が上がったわけではないと書いてありました。KAHOOTを使うと、普段の授業の何倍も英語を使っている。選択肢問題は何回やっても飽きないから、何回もやっているうちにどんどん覚えるから、だから楽しいということです。
さっきの不登校の生徒の事例にも共通するものがあります。いきなりお父さんに旅行に行きたいとは言えないけれども、キーボードだったら軽い気持ちで伝えられて、そのうちにコミュニケーションができるようになるのと同じように、ツールを使うことで、ハードルが低くなるわけです。それで何回もやっているうちに、実は英語が喋れるようになっているんですね。だから楽しいのだという論文もあります。

Q.GIGA スクール構想が決まった時には、どのような感想をお持ちになりましたか?

2019年12月の安倍総理の閣議決定で決まり、驚きとともに、本当に成功するのだろうかとちょっと不安な気持ちもありました。そして、2020年のコロナで3ヶ月の休校措置を決めて、その時に一人一台端末にすると。そこで、経済産業省の浅野さんが「学びを止めない」というキーワードを出しました。
そしてICT CONNECT 21も、全面協力し、企業の皆さんも協力してほしいという流れになりました。子ども達の学びを止めてはいけないし、オンラインを使ってやるしかないんだと。その時に2019年の閣議決定した一人一台端末という制度と、オンラインにならざるを得ないというのが、まるで見越していたように奇跡のように結びついた。
その時、私は、この一人一台端末は必ず成功するはずだと思いました。突然変異のような気がしたんです。その頃までの日本の教育の仕組みを考えた時に、諸外国と違って、ICTという道具はなかなか馴染みがない。日本の持っている文化とICTという道具が異文化というか異物というか、そういう気持ちが先生方の中にはありました。しかし、まるで遺伝子と遺伝子がくっついて新しい突然変異を起こしたかのように、ちょうどオンラインと一人一台端末がうまく結びついたわけです。この遺伝子は突然変異で生き残る遺伝子になると、進化するはずだと。
現に今、ハイブリッドでやっていこうという文化が根付いたということは、遺伝子の突然変異はずっと続くような政策になるはずだ、というのが今の気持ちです。
その時はわからなかったのですが、オンラインの休講措置になった時、きっと定着していく、本物のICT活用になっていくのだろうと、確信になっていったという感想です。

 

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■プロフィール

赤堀 侃司(あかほりかんじ)

静岡県高等学校教諭、東京学芸大学講師・助教授、東京工業大学助教授・教授、白鷗大学教育学部長・教授、を経て、現在、東京工業大学名誉教授、(一社)ICT CONNECT 21会長、工学博士など。専門は、教育工学。主な著書は、「タブレットは紙に勝てるのか」(ジャムハウス、2014)、「デジタルで教育は変わるか」(ジャムハウス、2016)、「親が知っておきたい学校教育のこと 1」(ジャムハウス、2017)、「プログラミング教育の考え方とすぐに使える教材集」(ジャムハウス、2018)、「AI時代を生きる子どもたちの資質・能力」(ジャムハウス、2019)など。


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学校・教育機関、企業の人事・研修部門など教育に関わる方に向けた日本最大の展示会です。
年に2回、東京・関西で開催をしています。
 

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