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教育現場を変革する「エドテック(EdTech)」とは?具体例や導入メリットを紹介

教育現場を変革する「エドテック(EdTech)」とは?
具体例や導入メリットを紹介


教育現場の様々な課題を解決するために、テクノロジーを活用した教育が注目を集めています。EdTech(エドテック)は、教育分野において先進的なテクノロジーを用いたソリューションを提供し、教育のイノベーションを促進する取り組みです。

しかし、教育の現場にテクノロジーを導入することで、どのような課題が解決でき、どういったメリットが得られるかについては、まだ多くの人には十分に理解されていない状況です。

そこで本記事では、エドテックの概要、解決できる課題、そして導入によるメリットなどを中心に詳しく解説します。


EdTech(エドテック)とは?

エドテック(EdTech)とは、テクノロジーを活用して教育を支援する仕組みやサービスのことで、教育(Education)と技術(Technology)を組み合わせた造語です。

この分野には、学習者向けの学習支援システム、教員向け授業支援システム、オンライン学習プラットフォーム、プログラミング学習サービスなど、多岐にわたるサービスが含まれます。

国内外において、教育現場におけるテクノロジーの活用を推進する動きが活発化しており、近年エドテックに注目が集まっています。

また、エドテックには、AIやVRなどの先端技術だけでなく、すでに一般的となっているアプリやソフト、デバイスなどの汎用技術も含まれており、教育の質の向上と効率化には欠かせないものとなりつつあります。


教育現場でエドテックを活用する目的

教育現場でエドテックを活用する主な目的として、以下の3点が挙げられます。

  • 教育の質の向上と学習過程の効率化
  • 教育アクセスの拡大とモチベーションの向上
  • 教育現場の課題解決とデジタル変革の推進

エドテックを活用することで、子ども一人ひとりの学習レベルやニーズに合わせた教育が可能となり、教育の質や学習効果を高められます。また、学習過程を効率化することで、教育リソースを最適化できます。

オンライン学習プラットフォームなどを導入すれば、時間や場所の制約を超えて、より多くの子どもに教育の機会を与えられます。また、インタラクティブで魅力的な学習体験を与えることで、子どもたちのモチベーションを高められるでしょう。

また、エドテックにより、教員の業務負担を軽減したり、学習データを分析して教育の質を改善したりなど、教育現場が抱える様々な課題の解決にも役立ちます。

教育現場にエドテックを導入することは、子どもたちだけでなく教師や保護者、教育行政など、教育に関わるすべての人たちに影響を与えます。デジタル技術を活用して教育現場や学びのあり方自体を見直し、より良い教育の実現を目指しましょう。


なぜエドテックなのか?注目される背景とは

エドテックが注目される背景には、日本の教育現場が直面している複数の課題が挙げられます。以下は、エドテックで解決できる教育現場の主な課題です。

  • 教育の格差
  • グローバル人材の育成が難しい
  • 個別のニーズに対応しきれていない教育
  • 教育現場の過重労働

こういった課題に対して、テクノロジーの力を活用すれば解決が期待できるでしょう。

また、エドテックはこれらの課題を解決するだけでなく、教育現場に革新をもたらす可能性も秘めているため、多くの関心を集めています。


教育に各種格差がある

教育における各種格差が、社会では深刻な問題となっています。特に、経済格差に起因する教育格差は、学校教育だけでなく、学校外での学習機会においても顕著に現れています。

例えば、経済的に恵まれた家庭の子どもは、質の高い学習ができる塾やオンライン教育サービスを利用することができますが、経済的に困難な家庭の子どもは、これらの学習機会を得ることが難しい状況にあります。

また、地理的な要因による教育格差も無視できません。都心部では多様な教育機会が提供されている一方で、地方では教育資源が限られており、子どもたちが受けられる教育の質に大きな差が生じています。

さらに、学校間の格差も問題視されています。学校間の格差も問題視されています。公立校と私立校の間だけでなく、同じ公立校の中でも、学校間で設備や教員の質、教育プログラムなどに差があり、子どもたちが受ける教育の質が異なるのが実情です。

エドテックは、このような教育格差を解消するための有効な手段として期待されています。

インターネットを活用したオンライン学習プラットフォーム、AIを用いた個別最適化、優れた教育プログラムのデジタル化など、エドテックによる教育サービスは、経済的、地理的な制約を超えて、すべての子どもたちに質の高い教育を与えることが可能です。


グローバル人材が育成しにくい

現代社会では、国際的な舞台で活躍するために、語学力のみならず、異文化への理解、協調性、問題解決能力などの汎用的スキルが不可欠です。しかし、従来の教育システムでは、これらの能力を十分に育成することが難しいという課題がありました。

特に、英語によるコミュニケーション能力の習得は、グローバル人材にとって必要不可欠なスキルです。しかし、日本では英語教育の効果が十分に発揮されていないとの指摘もあり、特にスピーキングやリスニングなどの実践的なコミュニケーション能力の向上が求められています。

例えば、オンラインプラットフォームを活用することで、世界中の講師と直接英会話のレッスンを受けることが可能です。また、AI技術を用いた言語学習アプリケーションは、個々の学習者のレベルや進捗に合わせたカスタマイズされた学習プランを提供し、効率的な学習をサポートできます。

さらに、バーチャルリアリティ(VR)技術を用いた体験学習では、異なる文化背景を持つ国々の日常生活や歴史を直接体験することができ、深く理解する手助けとなります。加えて、国際的なオンラインプロジェクトへの参加や、海外の学生とのバーチャル交流などを通じて、グローバルな協働スキルを育成できるでしょう。

このように、エドテックはグローバル化が進む現代社会において、必要とされる語学力や異文化への理解、協調性、問題解決能力といった能力を育成するための有効な手段として注目されています。


教育が個別最適化できていない

従来から行われている一斉授業では、児童や生徒一人ひとりの能力や理解度、興味や学習スタイルの違いに対応することが難しく、結果として生徒は受動的な態度になりがちです。また、創造性や積極性を十分に引き出すことができないという側面もあります。

また、従来の教育システムでは、子ども一人ひとりの基礎学力や学習状況に関するデータを十分に蓄積し、詳細に分析・可視化することが技術的に難しかったため、個別に最適化した教育を行えないのが現状です。

エドテックは、これらの問題を解決するための有効な手段として期待されています。例えば、AI技術を活用した学習プラットフォームでは、学習履歴や回答パターンを分析し、最適な学習コンテンツや課題を提供することが可能です。

さらに、オンライン学習プラットフォームを通じて自ら学習内容を選択し、自分のペースで学ぶことができるようになれば、子どもたちの主体性や積極性も育まれるでしょう。


教育現場で過重労働が起きている

教育の現場では、教育の質を高めるために教材の準備からクラス運営、授業計画の立案、事務作業、保護者とのコミュニケーション、会議参加、生活指導に至るまで、多岐にわたる業務を担っています。

これらの業務は、教員一人ひとりに大きな負担をかけ、教育活動に専念する時間を削減してしまう原因となっています。

また、業務の多様化に伴い、専門外の分野まで対応しなければならないケースも増えており、教員のストレスは高まる一方です。

このような状況の中で、エドテックの導入は教員の負担軽減に大きな期待が寄せられています。例えば、クラウドベースの学習管理システム(LMS)を活用することで、教材の配布や課題の提出・採点、学習の進捗管理を効率化できます。

また、オンラインによる保護者とのコミュニケーションツールを用いることで、時間と場所を選ばずにスムーズな情報共有が可能になり、会議や話し合いもオンラインで行うことで、教員の時間的な負担を軽減できます。

エドテックの導入は、教員の業務効率化を実現し、教育現場での過重労働を解消することが可能です。教育の質を維持しつつ、教員がより充実した教育活動に専念できる環境を整えるためにも、エドテックは欠かせません。


エドテックで可能になる教育

エドテックの導入により、教育現場では今まで以上に多様な教育ができるようになります。具体的には、以下のような教育が挙げられます。

  • オンラインによる学習
  • 個別最適化された学習
  • VRによる擬似体験学習
  • 学習データの分析・活用で教育効果を最大化

従来の一斉授業に加え、一人ひとりの学習スタイルやペースに合わせてカスタマイズした教育が可能となったり、どこにいてもオンラインで学習できたりなど、効果的・効率的な学習と教育の質の向上が期待できるでしょう。


オンラインによる学習

アメリカを中心に始まった「MOOC(大規模公開オンライン講座)」は、エドテックの代表的なサービスとして知られ、世界中で多くの学習者に利用されています。日本でもJMOOCに国内の多くの大学が講座を公開しています。

このシステムを通じて、一流大学の講義をはじめとする質の高い教育コンテンツをインターネット上で無料、または低コストで受講することが可能になり、教育の機会が大きく拡大しました。

オンライン学習の最大のメリットは、教育格差の是正に貢献できる点です。地理的な制約や経済的な理由を問わず、学習者が質の高い教育を享受できます。

また、教員の側にとっても、オンライン学習では授業や講義に集中できるため、精神的な負担が軽減されたり、オンラインツールを活用することで、学習者の理解度や進捗状況を容易に把握できるようになり、きめ細やかな指導が可能です。


個別最適化された学習

エドテックの導入により、一人ひとりの過去の回答や学習履歴といったデータを蓄積・分析し、思考パターンや苦手な点を見抜くことで、オーダーメイドの学習ができます。

ICT技術やソーシャルメディアを活用することで、学習内容や学習レベルに最適化した「アダプティブラーニング(適応型学習)」が可能です。具体的には、学習者の理解度や習熟度に応じて、学習教材、問題、次に学習すべき内容などを、自動的に提示するといったことが挙げられます。

これにより、一人ひとりの学習レベルや苦手な箇所を的確に把握し、それに応じた指導が可能になるため、学習のモチベーション向上にもつながります。

エドテックによる個別最適化された学習は、一人ひとりが自分のペースで、自分に合った方法で学べる新しい教育の形と言えるでしょう。


VRによる擬似体験学習

VRを用いることで、普段は体験することが難しい建築現場や災害現場での作業、危険な状況などを、安全に擬似体験することが可能です。実際に体験することのできない環境や状況を、リアルに近い形で学べます。

例えば、建築や土木の分野では、VRを用いて建設現場の安全管理や施工手順を学ぶことが可能です。また、医療分野では、手術シミュレーションや解剖学の学習にVRが活用されています。このように、専門的な知識や技術の習得に「VRによる擬似体験学習」は大きな効果を発揮します。

さらに、VR技術を活用することで、宇宙空間や世界遺産など、普段は行くことが難しい場所へのバーチャルトリップが可能になります。このような体験は、学習者の好奇心を刺激し、学びへの興味やモチベーションを高める効果が期待できるでしょう。

スマホやタブレットを利用して動く教科書や絵本を作り出すことも、VR技術の一つの応用例です。これにより、従来の紙の教材では表現できなかった動きや音、さらには3Dでの視覚的な情報を与えることが可能になり、学習内容の理解を深める手助けになります。

特に、小学校低学年の児童や、特別支援教育の現場では、このようなインタラクティブな教材が学習効果を高めることが期待されています。


学習管理システムで教育効果を最大化

エドテックへの注目が集まるに連れ、学習状況を把握し、効率的に管理・運営するための「学習管理システム」の重要性が高まっています。このシステムでは、インターネットを利用して教材の配信や回収を行い、学習者の学習履歴を管理することが可能です。

教員は学習者一人ひとりの進捗状況や理解度をリアルタイムで確認でき、つまずきのある学習者には早期に介入することで、学習の遅れを防ぐことができます。

また、教員用に特化した管理ツールを活用することで、より適切な学習管理が実現できます。これらのツールは、学習者の学習進度や成績、弱点などの詳細なデータを提供してくれるため、教師が授業計画を立てる際の参考にもなるでしょう。

学習者も自分の学習状況を確認できるため、自己管理能力の向上にもつながります。

さらに、学習管理システムは、教員間のコラボレーションや情報共有にも役立ちます。学習データを複数の教員で共有し、連携して指導にあたることで、より効果的・効率的な教育が実現可能です。

優れた教材や指導法などの情報を教員間で共有すれば、教育の質の向上にもつながります。


エドテックで得られる教育のメリット

教育と最新技術の融合は、教育現場に革新をもたらす可能性を秘めており、エドテックの導入によって得られる教育のメリットは多岐にわたります。

代表的なメリットとして、以下が挙げられます。

  • 離れた場所にも教育が提供できる
  • 学習者とのコミュニケーションを活性化できる
  • 多様な学習方法を提供できる

今後もエドテックのさらなる発展と普及が進むなか、これらのメリットを最大限に活かすことで、教育の質の向上と平等な学習機会の提供が実現できるでしょう。


離れた場所にも教育が提供できる

エドテックの導入により、何らかの事情で学校に通うことが難しい児童・生徒や、不登校の児童・生徒に対しても、質の高い教育機会を与えることができます。

インターネットがあれば、どこにいても授業に参加することが可能になり、自宅や地域の公共施設など、自分にとって最適な場所で学ぶことが可能です。

場所を問わず高度な教育を受けられることは、住んでいる場所による教育格差の解消に大きく役立ちます。特に、地方や離島など教育資源が限られている地域の児童・生徒にとって、エドテックは新たな学びの機会を開くことになるでしょう。

また、海外に住む日本人児童・生徒が、日本の教育カリキュラムに沿った学習を続けることも容易になります。


学習者とのコミュニケーションを活性化できる

インターネットを活用すれば、教員と学習者がリアルタイムでやり取りしながら学習を進めることが可能です。この直接的なコミュニケーションによって、学習の疑問点を即座に解消でき、学習効果を高められます。

チャットやビデオ通話などのツールを用いることで、学習者は授業中でも気軽に質問や意見を共有できるようになり、教員はその反応を見ながら、よりインタラクティブな授業を展開することができるでしょう。

また、オンラインディスカッションやグループワークを通じて、学習者同士のコミュニケーションも活性化され、協調性や問題解決能力の育成にも役立ちます。

加えて、エドテックの導入は学校では保護者とのコミュニケーションも強化します。

オンラインプラットフォームを通じて、保護者は子どもの学習状況や成績を簡単に確認できるようになり、家庭での学習サポートがしやすくなります。それだけでなく、教員と保護者間の情報共有がスムーズに行われるようになり、教育への協力体制をより一層強化できるでしょう。


多様な学習方法を提供できる

エドテックにより、教育現場では今まで以上に多様な学習方法が提供できるようになりました。特に、小学校や中学校では、児童・生徒一人ひとりの学習状況や理解度に合わせたカスタマイズされた教育が可能になることは、エドテックの大きなメリットです。

ビデオ講義や対話型教材、オンラインクイズなど、様々なコンテンツを通じて、自分に合った方法で学習することができます。また、子どもたち同士によるオンラインディスカッションやグループワークを通じて、協調性やコミュニケーション能力を養うこともできます。

さらに、VRを使用することでバーチャル空間内で臨場感のある没入体験が可能です。こういった体験は理解を深めるのに役立つだけでなく、学習への興味やモチベーションを高める効果があります。

エドテックによって提供できる多様な学習方法は、従来の教育では実現が難しかった学習体験を可能にし、教育の質の向上にも貢献しています。


まとめ|今後エドテックは教育現場のスタンダードに

教育とテクノロジーの融合によって、教育現場には革新的な変化が起こり始めています。

新しいテクノロジーの開発とその進化により、教育産業では新たなイノベーションが巻き起こっています。エドテックは一時的な流行ではなく、今後も注目を集め、教育現場のスタンダードとなることは間違いありません。

また、テクノロジーの進化とともに、教育の質の向上、教育格差の是正、学習方法の多様化など、教育分野における多くの課題の解決が期待されています。

教育現場においては、エドテックの可能性を理解して、これを積極的に活用していくことを求められています。そして、エドテック導入を効果的なものとするためには、教育現場のニーズを的確に把握し、適切なツールや手法を選択することが重要です。

今後、エドテックは教育現場における新たなスタンダードとして、さらにその重要性を増していくでしょう。


【記事監修者】

補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表北川哲也氏。

2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。2018年春に株式会社Link-Upを立ち上げ、士業サービスでカバーしきれないコンサルティングや顧問サービスをスタート。公益社団法人茅ヶ崎青年会議所の2021年度理事長や認定NPO法人NPOサポートちがさき参画など活動多数。


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