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EDIX東京2023インタビュー YouTubeクリエイター 葉一氏の教育にかける想いとは

EDIX東京2023インタビュー
YouTubeクリエイター 葉一氏の
教育にかける想いとは


先日開催されたEDIX東京2023では、主催者が行うセミナーだけでなく、出展社がブース内で行うセミナーにも数多くの教育関係者、有識者が講演されました。
その中で、今回は5月11日にGoogle for Educationブースで講演された教育系YouTubeクリエイター 葉一氏にお話を伺いました。


YouTubeをはじめたきっかけ

事務局:本日のセミナーでお話しされた内容について教えてください。

葉一氏:僕自身がYouTubeクリエイターとして活動を始めて約11年経ちます。
これまでこだわってきたポイントや活動に対する想いについてお話しさせていただきました。周りにYouTubeクリエイターがいるという方は少ないと思うので、クリエイターの生の声をお伝えできたのではないかと思います。大きな柱はYouTubeを始めたきっかけ、公教育に関する想い、授業動画にかける想いの3つです。

まず、YouTubeを始めたきっかけは、塾講師として働いていた時にさかのぼります。
その時、金銭的な問題で塾に通えないお子さんが想像以上に多いことを痛感しました。子どもたちの「頑張りたい」が大人の都合で止まってしまう。「そんな子どもたちに何かできないのか、子どもたちから直接お金をもらわずに教育機会を届けることはできないのか」と模索する日々が3年間続きました。

しかし、塾講師として結果を出せば出すほど立場が上がり仕事は増えます。
その仕事をこなしながら、その答えを見つけることはできないと感じ始めていたので、何の答えも見つかってはいませんでしたが、塾講師を辞める決断をします。

それから月日が流れた2012年、YouTubeと出会い「ここに授業動画を投稿すれば、子どもたちが好きなときに好きなだけ見ることができる」と感じ、翌日に1本目を投稿して今に至ります。


先生たちへのリスペクト

葉一氏:YouTube で活動をしていると、公教育や塾と敵対構図に思われることがあります。

ですが、私はそのように感じたことはありませんし、教育の根幹を担う先生方へのリスペクトの気持ちが大きいです。それはきっと、この活動の中で出会った先生方が人としても教育者としても尊敬する人ばかりだったからなのもあると思います。

また授業動画を制作する際に気を付けていることは、教科書丸々1冊をカバーして作成するというところです。
これは、子どもたちがどこでつまずいても自分が支えるんだという思いからきていますとお伝えしました。

事務局:セミナー後に多くの方が葉一さんのところに並んでいましたが、どのようなことをお話しされましたか?

葉一氏:たくさんいらっしゃった中でも印象に残ったのは、お子さんが実際に授業動画を見てくださっている保護者の方や今回僕の活動を初めて知り一緒に何かやりたいという気持ちになりましたと言ってくださる方が多かったことです。

YouTube授業動画に対する 10年間の変化

事務局:近年学校教育の中で一人一台情報端末を使うといった試みが広がっている中で、授業動画に対する反応はどのように変わってきたと感じますか?

葉一氏:長く続けてきたこともあり、「YouTubeで勉強する」という選択肢を持ってくれた子どもの数は増えましたね。
子どもって親や先生からおすすめされるよりも友達の言葉に影響を受けやすいので、学生間の口コミなどで広がってきたと感じています。
先生方や保護者についてはコロナ禍で急速に変わったと感じますね。「一つの教育ツールとしてこういうのも選択肢としてアリだよね」と思ってくださる方が増えたと思います。

8年くらい前から学校などで講演会をさせていただいているのですが、最初の頃、校長先生が私の方を向いて座ってくださらないということがありました。そのように学校現場で話を聞いていただけないこともありましたが、今は皆さん興味をもって話を聞いてくださるので、これは大きな変化ですしとても嬉しく思っています。


保護者に伝えたいこと

事務局:現在、不登校の子どもが増えているという問題がありますが、この問題に関して考えや取り組みたいことはありますか?

葉一氏:僕のYouTubeチャンネルは、不登校の子どもの利用率が高いチャンネルです。というのも、教科書1冊を丸々授業動画にしているので、学校へ行かなくても動画を見れば教科書レベルの内容を網羅できるからです。昔から不登校の子どもを支援したいと思ってやってきたということもあります。

不登校の子どもだけの話ではありませんが、子どもたちの学び方は私たちが学生の頃より選択肢が多くなっています。その選択肢を是非、保護者の方にも中身も含めて知ってほしいのです。

「無料だから怪しい」「YouTubeで勉強なんて無理」そう思われている方はまだいらっしゃいます。なので、動画の中身を見てもらうことももちろんですが、製作者の想いや人柄なども伝えていくことが大切だと感じています。

事務局:今回もセミナーに登壇されていますし、講演会などでも伝えるということを積極的に行っていらっしゃいますが、今後さらに進めていきたいという活動はありますか?

葉一氏:ここ数年はメディア露出を極力断らないようにしてきました。
というのも、YouTubeは本当に多くの方が見てくださっているのですが、普段から利用しない方にはアプローチすることはできません。
なので、より多くの保護者の方々に知ってもらうために、テレビなどのメディア露出に力を入れることにしました。
その成果もあってか、年々、講演会の依頼が増えているので、そういった場で生の声で想いや考え方を伝えることに今は注力しています。
そうすれば、子どもたちと保護者が同じ温度感で「YouTubeでの学び」という選択肢を持ってくれるはずです。勉強を頑張っている子が「YouTubeで勉強なんてできるわけないでしょ!」と怒られるようなシーンも減っていけばいいなと思っています。

EDIXはワクワクする場所

事務局:最後になりますが、EDIXに対してご感想やご意見があればぜひお願いします。

葉一氏:毎年お邪魔していますが、EDIX は毎年ワクワクを提供してくれる場所ですね。
私が大学時代にはまだ始まっていませんでしたから、あればよかったのにと心から思います。今の学生が教員になる頃には、EDIX に展示されているような技術がどんどん使われている可能性も高いので、教員志望の学生がもっとたくさん来てくれる場になったらいいなと思っています。

事務局:ありがとうございました。教育界をワクワクする場にしていくという使命をあらためて感じることができました。今後のますますのご活躍をお祈りいたします。

 

 

<プロフィール>

教育YouTube クリエイター。学校・塾に並ぶ第 3 の教育の柱として、誰でも自由に無料で勉強ができる「フリーラーニング」の確立に人生を捧げる。
福岡県出身、群馬在住。中学時代にいじめに会い自暴自棄になるが、高校時代の恩師との出会いがきっかけで教師を志す。家庭の事情等で塾には行かず、自学のみで1年間で偏差値20アップを実現。東京学芸大学教育学部に進学し教員免許を取得。しかし、教育実習先で教師の事務作業の多さを目の当たりにし、生徒の精神的サポートができる別の方法の模索を始める。教材販売の営業マン、塾の講師などを経て、2012年6月よりYouTubeにて映像授業の配信を開始。運営する「とある男が授業をしてみた」は登録者170万人、総再生回数5.5億回を超え、多くの生徒、保護者、教育関係者、また、学び直しの機会を求める視聴者からの支持を集める存在に。自身の体験を踏まえ、授業だけではなく、いじめや不登校など学生の悩みにこたえる動画も数多く投稿。38歳、二児の父。


EDIXとは
学校・教育機関、企業の人事・研修部門など教育に関わる方に向けた日本最大の展示会です。
年に2回、東京・関西で開催をしています。
 

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