EDIX関西 来場者インタビュー1 紀の川市教育委員会
~総勢14名で参加した紀の川市のEDIX参加目的と活用とは~
EDIX関西 来場者インタビュー1
紀の川市教育委員会
~総勢14名で参加した紀の川市の
EDIX参加目的と活用とは~
(EDIX関西2022会期中のインテックス大阪にて 左からEDIX事務局 花籠良、紀の川市教育委員会 吉田雅義氏、岡本紹子氏、EDIX事務局 木村薫、神田百合野)
2022年6月に開催されたEDIX関西には多数の自治体・教育委員会の方々がお越しくださいました。その中から、今回総勢14名でご参加いただいた、紀の川市(和歌山県)教育委員会の教育審議監 岡本紹子氏と教育総務課 吉田雅義氏のお二人に、EDIXに参加した目的や今後の課題、EDIXで得たものをどのように現場にフィードバックしていくのかなどをお聞きしました。
行政職・指導主事、それぞれの視点で見るために14名で参加
事務局:今回は紀の川市として、何名でEDIXにご参加いただいたのでしょうか?
岡本氏:今回は3日間に分かれて14名で参加しました。教育委員会で学校教育に関わるスタッフは20名ぐらいです。
事務局:ということは、教育委員会の学校実務にあたる7割ぐらいの方がEDIX関西にいらしているわけですね。なぜ、それほど多くの方でご参加いただいたのでしょうか?
吉田氏:実は2年前にもEDIXに参加したのですが、その時はハードの整備がメインでしたので、行政職が主となって参加しました。
その後、GIGAスクールが本格始動し、さらに活用を進めていかなければならなくなりました。そのためには指導主事の先生にもどういう活用方法があるのかを知ったり、聞いたりしてもらわないといけない。アプリなどは授業で直接使うものですし、実際に見てみることでヒントにもなるので、指導主事の先生とも話をしたうえ、全員でEDIXに参加して情報共有しようとなりました。
事務局:色々なポジションの方が来られることで、情報共有がしやすくなり、頭合わせして進めやすいみたいなこともありそうですよね。
岡本氏:そうですね。各担当が参加することでいろんな視点で見られますしね。
吉田氏:各々見たいものがあると思うので、各自の視点で見て、ヒントや気づきになってほしいと思います。
ICTの活用が進んできたが、学校間や教員間で格差も出てきている
事務局:紀の川市の小学校・中学校は全部で何校ですか?
岡本氏:小学校が15校、中学校が7校なのですが、ほとんどが小規模校です。
事務局:タブレット端末は、すでに児童・生徒1人1台の整備が終わっているのですね。
岡本氏:はい、令和2年度末には整備が終わって、令和3年度から本格的に開始しています。小学校も中学校も端末はiPadです。
事務局:高速ネットワークはすべての学校で整備されているんでしょうか?
岡本氏:はい、今回のGIGAスクールの話が始まってから強化され、各教室・特別教室も含めてすべて整備されました。
事務局:児童・生徒のiPadの持ち帰りは、どれくらいの頻度で実施されていますか?
岡本氏:それは学校間で差があります。週1回というところもあれば、月1回っていうところもあったり。目的もなく持ち帰らせるのは問題があります。それから家庭のWi-Fi環境がまだというところもあるので、それは紀の川市からルーターを貸し出しする形で対応していけるかなと検討しているところです。
事務局:タブレット端末は授業でどのように活用されているのでしょうか?
岡本氏:昨年度1年間は使いはじめということもあったので、“とりあえず触ってみよう” という段階でした。先生も子どもも触るところから、慣れるとこからはじめよう、アプリでこのようなことをしてみようとかお試しみたいな感じでした。本当に授業で有効活用できているかというのは置いといて、慣れるというところからはじめましたね。
1年目の後半になると、先生方は授業でどう使うかというところに目を向けるようになってきました。ただ、先ほど受講したセミナーで文部科学省の講師の方もおっしゃっていたように、学校間の格差が出てきています。もっと言うと、同じ学校にいる教員でも活用に差が出てきていますね。
小学校はわりと活用が進んできていますが、中学校はまだ十分に活用できていないというのが紀の川市の課題です。
事務局:これは多くの自治体でも課題となっていますね。
岡本氏:そうですね、紀の川市では比較的小規模、児童数が少ないところの方が使っている感じはありますね。学年で2~3クラスある学校になると、学級間の差も出てきているのかなという気はします。
事務局:校長先生の意識の差というのもありますか。
岡本氏:どうしても先生方は、最初構えてしまうところがあって、そこで校長先生が「何でもいいから使ってみて」と言えるかどうかというのは重要ですね。あと、職員の中に1人でもICTに堪能な方がいると、そこから、みんなに広がっていくこともあります。小さい学校だと学級担任ばかりが集まって、「これ使ったら、おもしろかったよ」とか「これこうやったらうまいこといったよ」みたいに交流しやすいですが、職員も増えてくるとなかなかそれも難しいところもありますね。
事務局:ICT支援員はいらっしゃいますか?
岡本氏:はい、週1回は必ずすべての学校にいますので、たいへん助かっています。特にネットワークが繋がらなかったりとか、うまく起動しなかったりとか、そういうときには助けてもらっていますね。
EDIXに参加してみて
事務局:今回、EDIXに来場いただいた目的は何でしょうか?
岡本氏:私は先生方の校務削減になるようなものが何かないかということで、来させていただきました。今日は特別支援向けのアプリを見まして、特別支援学級の先生の事務的なものはこれで楽になるのではと思いました。個別の指導計画など書類の作成も増えてきています。そういった書類を作れるようなものがあったので、検討しています。
あとは、家庭学習の充実になるようなものを見せてもらいました。明日、明後日も職員が参加しますので、それぞれの役割に応じて、ハード、教材、学校設備など分担して、各担当で紀の川市で導入していくべきかみていきます。
EDIXで新しい流れを肌で感じることができた。こんなこともできると刺激に
事務局:今回、EDIXに来場してみていかがでしたか?
岡本氏:私は昨年まで現場にいましたが、新しい流れを肌で感じることができました。学校現場にいると日々の忙しさに追われてしまい、目の前の子どもだけになってしまっているところがあるので、こういう場で今の流れやこれからの動きなどを見て、アップデートしていかなければならないというのが実感できたと思います。情報は入ってはきていますが、肌で実感するっていうことは、現場の先生方含めまだ足りないかもしれませんね。
事務局:実際にEDIXに来てみて、今すぐできないにしても子どもたちにこんなことを将来やらせたいとか、ワクワクしたとか、そういった感想が自治体・教育委員会の方で多いんですよ。
吉田氏:頭の中ではこのようなことができるかなと思っているところがありますが、やっぱり来てみたら、こうしたこともできる、こういうこともできるのならと刺激になりました。新しいことを考えて、一度にいろいろなものを見られるというのは、やっぱりすごいことだなと思います。
事務局:セミナーも聴かれたということでしたが、聴講してみていかがでしたか?
岡本氏:これからの教育に必要なことであるとか、同じような課題や悩みをもたれているところもあるんだなということもわかりましたし、それを現場の教員にどこまで私たちが伝えていけるのかなと。それを伝えていかないといけないし、きちんとそこを支えていくのが教育委員会の役目だろうなというのは思いました。
EDIXで得たものを校長会などで現場へフィードバック
事務局:先ほどお話されていたように、学校現場の校長先生やICTの担当の方、若い先生などにこういった情報をお伝えしていくと思いますが、どういった形でフィードバックされる予定でしょうか?
岡本氏:校長会におろしてくことが方法としてはあるかと思います。また、和歌山大学とも今後連携していけたらとも考えていましたので、そういうところでも今回のEDIXで得たことを伝え、GIGAスクールを進めていけたらと思っています。大学の先生を通じて出前授業をしてもらったり、研修してもらったり。
事務局:ICTが実際に進んでいるところというのは、教育長・教育委員会・校長、あとは学校にリーダーになるような人がそろって、はじめて活用がすべてうまくいっているようです。どこかが欠けてしまうと進まないということなので、ぜひ、現場の先生方に今回のEDIXで得られたことをフィードバックしてください。
GIGAスクールは今年が正念場、今後、取り組みたいことは
事務局:紀の川市の学校や教育についてのビジョンや目標はありますか?
岡本氏:ふるさと教育の充実もありますし、もちろん、このGIGAスクールを推進していくこともあります。指導主事の間で話しているのは今年が正念場だということ。あまり活用が進んでない中学校も今年何とかしないとどんどん世の中から置いていかれてしまいます。そこに少し危機感を持っていますので、研修の回数を増やすなど取り組みの充実を図っていかないといけません。EDIXの内容も参考にして、今後の方針を考えていきたいと思います。
EDIXとは
学校・教育機関、企業の人事・研修部門など教育に関わる方に向けた日本最大の展示会です。
年に2回、東京・関西で開催をしています。
来場に興味のある方は下記から詳細をご確認ください。