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いま注目のSTEAM教育とは?わかりやすく簡単に解説!実践ポイントや事例も紹介


AIやIoTなどのテクノロジーが進化した社会で活躍できる人材を育てるため、教育現場では「STEAM教育」という考え方が注目されています。

しかし、STEAM教育の詳細や実践方法、有効性などを熟知しておらず、現場で活かせる知識やノウハウを詳しく知りたいと考えている教育関係者も少なくないのが現状です。

そこで本記事では、STEAM教育の概念、実践するときのポイント、取り組み事例などを中心に紹介します。


STEAM教育とは?その意味や目的について

STEAM教育とは、現代社会が直面する「複雑な課題に対応できる人材」を育成するための教育概念です。以下の5つの領域について、教科を横断して統合的に学ぶことを特徴としています。

・Science(科学)
・Technology(技術)
・Engineering(工学・ものづくり)
・Art(芸術・デザイン)
・Mathematics(数学)

STEAM教育は教科横断型の学びであり、複数の分野が相互に関連しながら、より実践的で意味のある知識の習得を目指します。例えば、数学の問題を解く際に、科学の原理や技術を活用したりすることです。

AIやIoTのような技術の急速な進展により、これからの社会で求められるのは、単に知識を持つだけでなく「課題を自ら発見し、解決策を創出できる能力」です。STEAM教育は、そうした資質や能力の育成に重点を置いています。

この教育方針のもとでの学びは、教科書に書かれた知識の暗記だけにとどまりません。子どもたちが自発的に問題を見つけ、それに対する解決策を考え、試行錯誤する過程を大切にします。このアプローチは「アクティブラーニング(能動的学習)」と呼ばれ、子どもの主体性と対話を重視した学びです。

STEAM教育は、子どもたちが知識を統合し、実生活に応用する力を養う貴重な機会を与えます。また、現実社会の問題にも取り組むことで、自分たちの学びが社会にどのように貢献できるのかを実感できます。これは、将来の仕事やキャリアにおいても重要な経験となるでしょう。


STEAM教育が生まれた背景

STEAM教育の前身であるSTEM教育は「論理的思考力」を重視し、科学技術人材の育成を目的としていました。しかし、AIでは置き換えにくいといわれる創造性やデザイン思考を育むために、芸術(Art)の「A」を加えて「STEAM教育」が提唱されました。

日本では、2016年に内閣府が「Society 5.0」を提唱したことで、STEAM教育への関心が高まっています。Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)が高度に融合した社会を目指す構想であり、STEAM教育はその実現に向けた人材育成の重要な柱とされています。

また、グローバル化の進展や環境問題の深刻化など、現代社会が抱える複雑な課題に対応するには、分野を越えた知識の融合と創造的な問題解決力が不可欠で、これもSTEAM教育が求められる理由のひとつです。


STEM教育とSTEAM教育の違い

STEM教育は、主に「理系分野の複合的な知識を持つ人材」を育成することを目的としています。

一方、STEAM教育はSTEM教育にArt(芸術)を加えたもので、創造性やデザイン思考を重視します。ここでのArtには、Liberal Arts(教養)の意味も含まれています。


日本におけるSTEAM教育の現状

文部科学省は、従来の思考では先行きの見通せない「VUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代」と言われる今、分野横断的な知識や思考力を前提とする「創造力と問題解決力を備えた人材」を育成するために、STEAM教育を推進中です。

具体的には、プログラミング教育の必修化や、理数教育の強化が進められており、教育現場では、これらの変化に対応するためのカリキュラムが組まれています。

また、新学習指導要領では、小学校でのプログラミング教育の必修化や、高等学校での「情報Ⅰ」の必修化など、STEAM教育の考え方が反映されています。

ただし、日本におけるSTEAM教育はまだ発展途上の段階にあり、教員の指導力や専門性の向上、学校間の格差解消など、解決すべき課題も残されているのが現状です。

今後は、これらの課題に取り組みながら、より効果的なSTEAM教育の実現に向けた取り組みが求められています。


小学校でのSTEAM教育

小学校教育において特に注目されているのが、プログラミング教育の必修化です。2020年度から、小学校でプログラミング教育が必修化され、子どもたちが情報技術を理解し、活用する能力を身につけることが重視されています。

また、理数教育においても、科学的な探究を促す観察や実験、そしてデータを分析して課題を解決する統計教育が充実しています。

これらの取り組みは、子どもたちが論理的思考力や問題解決能力を養う上で、科目という枠組みを超えて「教科横断的」に実施されることが非常に重要です。

経済産業省の未来の教室プロジェクトが開発した「STEAMライブラリー」では、動画やデジタル資料など、学校の授業でも利用できる各種資料を無料で公開しています。

小学校においてSTEAM教育の成果を高めるには「理数リテラシーの高い教師」の存在が不可欠です。教師自身が科学や数学に対する深い理解と情熱を持ち、それを子どもたちに伝えることができるかも、教育の質を左右する要因となるでしょう。

そのため、教員の研修や教育プログラムの開発にも力が入れられています。


中学校でのSTEAM教育

2021年度から中学校の技術・家庭科の技術分野において、プログラミング教育が必修化されたことにより、その内容がさらに充実しています。情報技術の基礎から応用までを学び、将来的に社会で活躍するための重要なスキルを身につけることが目的です。

また、教科を横断した学びが重視されており、例えば、理科と数学を組み合わせた科学的な探究活動や、技術と芸術を融合したものづくりなどがあります。このような学びを実現するためには、専門的な知識を持つ教師による指導が重要です。

中学校におけるSTEAM教育の実践には、カリキュラムの開発や評価方法の確立など、まだ課題も残されています。今後は、これらの課題を解決しながら、より効果的なSTEAM教育の実現に向けた取り組みが求められています。


高校でのSTEAM教育

プログラミング教育の必修化だけでなく、ネットワーク、データベースの基礎知識の学習など、内容がさらに充実しています。

2022年度から高校の共通必修科目「情報Ⅰ」が設置され、すべての生徒が情報技術の基本から応用までを学び、将来的に社会で活躍するための重要なスキルを身につけることを目指しています。

また、数学・統計学・機械学習、プログラミングなどの知識やスキルを用いて、大量のデータから有用な結論や知見を導き出すデータサイエンス教育に関する取り組みも進められており、文部科学省では認定制度を設けて後押ししています。

そのために、教科を横断した学びがより一層推奨され、専門的な知識を持つ教師による深い学びの提供が不可欠です。

文部科学省は、先進的な理数教育を積極的に行う高等学校・中高一貫教育校を「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定しています。SSH指定された学校では、大学や研究機関、民間企業との連携を通じて、主体的な学びを体験し、創造性豊かな人材育成が行われています。

高校には「探究・STEAMの学びの設計・コーディネートや、大学や企業等との連携をコーディネートできる人材が常時いる状況」が望ましいとされており、これにより生徒たちがより実践的な学びに取り組めます。

また、高校では「総合的な探究の時間」が必修化され、生徒が自ら課題を設定し、情報を集め、整理・分析して、まとめ・表現するという探究のプロセスを通して、課題を解決する資質・能力を育成することが重視されています。

こういった学習は、STEAM教育の考え方とも深く関連しており、教科横断的な学びを推進する上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。


STEAM教育を実践するときのポイント

STEAM教育は、科学、技術、工学・ものづくり、芸術・教養、数学の各分野について、教科を横断して統合的に実践します。これにより、児童・生徒の批判的思考力、創造力、問題解決能力を育てることができます。

また、STEAM教育の実践には、以下のポイントを取り入れることが大切です。

・カリキュラムをマネジメントする
・子どもが発言しやすい環境を作る
・子どもに問い続けワクワク感を大切にする

これらの実践ポイントについて、詳しく解説します。


カリキュラムをマネジメントする

STEAM教育を実践する際の重要なポイントの一つが、カリキュラムのマネジメントです。そのためには、学校全体での「年間指導計画の再編」が求められます。

カリキュラムの再編成にあたっては、まず「学校の教育目標」や「学校として育成を目指す資質・能力」を明確にすることが重要です。そして、これらを家庭や地域社会とも共有し、教育課程を編成していくことで、学校全体として一貫した教育方針を持つことができます。

また、カリキュラムのマネジメントには、教科間の連携を強化し、教科を超えた統合的な学習を促進することも含まれます。

教育課程の編成にあたっては、教師、児童・生徒、保護者、地域社会との連携も重要であり、STEAM教育の理念を根付かせるためには、これらすべての関係者の理解と協力が不可欠です。


子どもが発言しやすい環境を作る

STEAM教育では、各教科の専門性が結びつき新しいものが生まれるという「文理融合」の観点から、教科の専門性を超えた広い視野での学びが促されるため、子どもたちが自由に発言し、自分の考えを表現できる環境が求められます。

特に、STEAM教育におけるArt(芸術)は、デザインや感性など、より広い概念として捉えられるべきであり、この点を踏まえた学びの環境づくりが重要です。

日本の教育現場では、質疑応答の時間が限られていることや、間違いを恐れて発言しづらいなどといった状況が見られます。

しかし、STEAM教育の目的は、子どもたちが自分の興味・関心に基づいて新たな知識に出会い、それを活かして何かを創り出すことにあるため、多様な意見が交わされる開放的な環境が必要です。

教師自身が、子どもたちの多様な答えを拾い上げ、時には自身の失敗も見せることで、多様性を受け入れる姿勢を示すことが大切です。これにより、子どもたちは「失敗してもいい」と感じ、より積極的に発言するようになります。

また、グループワークを行う際には、多様なタイプの子どもたちが発言できるよう配慮することが重要です。そうすることで、多様な視点や考え方が共有され、クラス全体の創造性が高まるでしょう。


子どもに問い続けワクワク感を大切にする

日本の子どもたちは、親や教師の指示に従うことに慣れており、自ら積極的に発言することに対して抵抗感を持つことがあります。この傾向は、日本の教育文化において、子どもたちが親や教師の指導を受けながら育ってきたことと関係しています。

しかし、子どもたちの問いの質が低くても、「なぜそう考えたのか」と深掘りすることで、徐々に質の高い質問ができるように導くことができます。子どもたちに問い続けることは、彼らの思考力や表現力を育み、積極性を引き出す上で重要な役割を果たします。

STEAM教育では、子どもたちだけでなく、教師自身もワクワク感を持つことが重要です。教える喜びだけでなく、子どもたちと共に新しい学びに挑戦することで、教育の楽しさを再発見することができるでしょう。

さらに、STEAM教育におけるワクワク感は、子どもたちの内発的動機づけを高める上でも重要な役割を果たし、学びに対する意欲や主体性が育まれます。


STEAM教育の実例

STEAM教育について、理論だけでなく実践方法も理解することは、教育する側にとって非常に重要です。

ここでは、STEAM教育の理念を地に足のついた形で実現している具体的な事例を紹介します。

これらの実例を通じて、STEAM教育がいかに多様な形で、そして効果的に教育現場に取り入れられているかを見ていきましょう。


戸田東小学校・中学校

戸田東小学校・中学校では、STEAM教育の先進的な実践として、2021年度に「STEAM Lab」を設立しました。STEAM Labでは、ハイスペックPC、3Dプリンター、ロボットカー、大型掲示装置、動画編集ソフト、3D-CADソフトなどが導入され、児童・生徒たちに新しい学びの機会を与えています。

小学3・4年生には「Scratch」やロボットカーを使ったプログラミング授業を実施し、小学5・6年生は3D-CADソフトや3Dプリンター、動画編集ソフトを使用してPBLの成果物を制作しています。

戸田東小学校・中学校のSTEAM Labは、最新テクノロジーを活用しながら、児童・生徒たちの課題発見力、論理的思考力、解決実行力を育む場となっています。このような環境は、21世紀を逞しく生き抜く児童・生徒を育てるための教育活動を展開する上で、大きな役割を果たしています。

参考:東洋経済オンライン「公立で3Dプリンターや高性能PCを配備、戸田東小中「STEAM Lab」が凄い」
参考:戸田市教育委員会「令和4年度戸田市立戸田東小学校 教育課程特例校の取組について」


聖徳学園中学・高等学校

聖徳学園中学・高等学校では、人とつながる力、知識をつなげる力、世界とつながる力の育成に重点を置き、生徒たちが自由な発想で新しい価値を生み出すクリエイティブな人材を育成することを目指しています。

また、聖徳学園ではArtsに注目し、印象的に相手に伝える「Output」を重視しています。

STEAMのための建物の新設やICT支援員の充実など、環境整備も積極的に行われており、高校1年生は情報の授業で、高校2年生は情報と総合的な学習の時間を組み合わせて、STEAM教育に取り組んでいます。

特に、クリエイティビティを重視し、生徒たちの取り組みが単なる「課題」を超え、「作品」を創り出すことが目標です。

さらに、聖徳学園では大学や企業、地域社会との連携を通じて、生徒たちが実社会の課題に取り組む機会を提供しており、生徒たちは自分たちの学びが社会でどのように活かされるのかを実感して、学習意欲を高めることができています。

参考:聖徳学園中学・高等学校「個性と可能性を伸ばすSTEAM」


兵庫県立加古川東高校

兵庫県立加古川東高校では「兵庫型STEAM教育」を積極的に推進しており、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)指定校としての経験を生かしながら、普通科と理数科の生徒たちに対して、探究活動を中心に据えたカリキュラムを展開しています。

特に、生徒たちの主体性を育む特色ある行事や、海外との交流、多様な探究活動が中心です。

家庭科での「ホームプロジェクト」や地理歴史科での「ビッグデータから加古川市の特徴を明らかにしよう」といったテーマを通じて、生活に身近な問題から問いを立て、実験や実践を通じて結果をまとめる探究活動を実施しています。

また、保健体育科の「健康科学探究」では、健康、スポーツ、保健に関する問題を生徒自らが設定し、図書室を活用した文献調査や発表を行っています。

兵庫県立加古川東高校のSTEAM教育の特徴は、各教科の教師の専門性を生かした協働体制の構築にあり、教育企画部が中心となり、STEAM教育推進委員会を通じて全職員の意見を聴取し、職員会議での再検討を経て企画が実施されています。

参考:文部科学省「兵庫県立加古川東高校での取組」


高知県立山田高等学校

高知県立山田高等学校では「総合的な学習の時間」を大改革し、「地域課題探究Ⅰ」「地域課題探究Ⅱ」「知の探究」というカリキュラムを通じて、生徒たちが地域の課題に目を向け、解決策を探求する学びを実践しています。

生徒たちは、地域の情報収集から始め、自分たちのキャリアに関するテーマを設定し、チームで活動を進めます。このプロセスを通じて、生徒たちが自ら主体的に判断し、キャリア形成する力を育てることが目的です。

また、新たな学科として「グローバル探究科」と「ビジネス探究科」を設置し、科学的に探究する力やビジネスを探究する力を育成しています。これらの学科では、地域の発展に貢献できる人材の育成を目的とし、地域イベントやボランティア活動に参加することで、地域の課題を発見し、その解決に向けて取り組むことができる生徒を育てています。

これらの取り組みは、地域創生に有為な人材を輩出することを目的としており、生徒たちは地域と一体となって活動することで、他者を思いやり、協力して行動することができるようになります。

高知県立山田高等学校のSTEAM教育は、生徒たちに自ら学び、自ら判断し、自ら行動する力を身につけさせることで、地域社会に貢献できる人材を育成しています。

参考:文部科学省「高知県立山田高等学校」


まとめ|STEAM教育には教員不足や地域格差の解消が必要

STEAM教育の実践においては、教員の不足、ICT環境整備の遅れ、家庭や地域の格差など、さまざまな課題が存在します。STEAM教育を普及し発展させるには、早急にこれらの課題解決が必要です。

教員不足は、STEAM教育を推進する上で大きな障害となっており、特に「STEAM教育に必要な専門的な知識を持った教員」が不足していることが問題となっています。また、新しいプログラミング授業などでは、教員が生徒よりも知識が劣っていることがしばしばあり、教員が新たな専門的なスキルを身につける必要があります。

また、家庭や地域の格差もSTEAM教育の課題となっています。教育に力を入れている自治体とそうではない自治体、私立と公立で使える予算に差があること、家庭で得られる体験の差などによって、教育の機会に格差が生じています。

これらの課題を解決するためには、教員の育成と研修の強化、ICT環境の整備の加速、家庭や地域の格差を解消するための支援が必要です。STEAM教育を通じて、児童・生徒が21世紀の社会で求められるスキルを身につけ、活躍できるようにするためには、これらの課題に対する取り組みが急務となっています。

さらに、STEAM教育の推進には、産学官連携の強化も重要です。企業や大学、研究機関との連携を通じて、最新の技術や知見を教育現場に取り入れることができます。また、地域社会と学校が一体となって、子どもたちの学びを支える環境を整備することも求められるでしょう。


【記事監修者】

補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表北川哲也氏。

2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。2018年春に株式会社Link-Upを立ち上げ、士業サービスでカバーしきれないコンサルティングや顧問サービスをスタート。公益社団法人茅ヶ崎青年会議所の2021年度理事長や認定NPO法人NPOサポートちがさき参画など活動多数。


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