小学校でプログラミング教育が必修化!その内容と取り組み状況は?
小学校でプログラミング教育が必修化!
その内容と取り組み状況は?
2020年度から小学校ではプログラミング教育が必修化されました。実際に小学生に聞いてみると、ほとんど実施していない学校もあれば、課外活動の時間にゲームを作っただけという学校もあります。
新型コロナウイルスの流行拡大に伴い、オンラインでも授業ができるようにしようという話が先行し、プログラミング教育については話題にあがることは少なかったのが現状です。そこでこの記事では、そもそもなぜプログラミングが必修化されたのか、また実際にどのように実施される予定なのか、現在の状況はどうなっているのかについて説明します。
なぜプログラミングが必修化されたのか
AI、IoT時代を迎え、これからの子ども達にとってプログラミングが必要となる仕事が増えてきます。海外では、小学校低学年からプログラミング教育を科目として取り入れる国も多く、日本でも、プログラミングができるIT人材の不足が叫ばれていることから、2020年度より小学校でのプログラミング教育が必修化されました。
プログラミング教育の目的とは
文部科学省の出している「小学校プログラミング教育の手引き(第3版)」によれば、プログラミング教育の目的は以下の3つになっています。
1.「プログラミング的思考」を育むこと
2.プログラムの働きやよさ、情報社会がコンピュータ等の情報技術によって支えられていることなどに気付くことができるようにするとともに、コンピュータ等を上手に活用して身近な問題を解決したり、よりよい社会を築いたりしようとする態度を育むこと
3.各教科等の内容を指導する中で実施する場合には、各教科等での学びをより確実なものとすること
ここからもわかるように、小学校でのプログラミング教育は、プログラミング言語を学び、子ども達に高度なプログラミングをできるようにすることが目的ではありません。 上記3つの点を踏まえて小学校でも実施されているわけですが、1の「プログラミング的思考」がよくわからないという議論が導入以前からありました。
プログラミング教育の有識者会議は「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」と定義しています。
先ほどの文科省の手引きでは以下の手順が例として掲載されています。この5つの手順を考えられるようになることが「プログラミング的思考」の目的なのです。
「小学校プログラミング教育の手引き(第3版)」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf)、16頁参照を加工して作成
「小学校プログラミング教育の手引き(第3版)」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf)、18頁参照を加工して作成
どのように授業に組み込まれているか
プログラミング教育が導入された理由については先ほど述べましたが、実際どのように授業に組み込むのでしょうか。小学校のプログラミング教育では、プログラミングが科目として必修化されたわけではありません。あくまでも算数や理科、家庭科など教科の一部としてプログラミングが必修化されているため、教科の中にプログラミングをする時間が入ってくるわけです。では具体的にどのような内容で実施されているのでしょうか。
よく例として取り上げられるのは算数の正三角形(多角形)を書く事例です。先ほどの文科省の手引きでも例として取り上げられていますが、以下のようなプログラミングになります。
「小学校プログラミング教育の手引き(第3版)」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20200218-mxt_jogai02-100003171_002.pdf)、15頁参照を加工して作成
コンピュータを使わなくても正三角形は作図できます。その際に定規とコンパスや分度器を使う訳ですが、プログラミングで行うと上記のような指示になります。上記二つのプログラミングはどちらも同じ結果になるのですが、「くり返し」を使っている右側の方がプログラミングとしては効率的です。なぜなら長さを変えたいとなった場合、右側は一か所で済みますが、左側は3箇所変更しなければなりません。この問題は正三角形のため3か所で済みますが、正二十角形で長さを変えたいとなった場合、20箇所修正しなければなりません。一方右側であれば正三角形のプログラムと同様、1か所のみの修正で済みます。
プログラミングの場合は最初からうまくいくというものではありません。うまくいかなかった場合はどこがおかしいのか考え、修正しプログラムを実行するという手順を繰り返します。こうした試行錯誤がプログラミング的思考を育てるというわけです。
プログラミング教育の実施状況
では、実際にどのくらいの小学校でプログラミング教育は実施されているのでしょうか。くもん出版が実施した「小中学校におけるプログラミング教育」に関する調査によれば、中学校を含めた全体でも28.1%、小学校だけだと32.4%が実施しているという結果が出ています。ただし、どのようなプログラミング教育が行われているかはわかりません。パソコンを使って授業を行なっているだけでプログラミング教育と理解されているケースもあり、先ほどの事例のように、算数の中でプログラミングを使って正三角形を書くというような授業は、どれぐらいの学校が実施しているのか、不明瞭というのが現状です。これからプログラミング教育として一体どのようなことを行ったかというのが問われてくると考えられます。
オススメのビジュアルプログラミング言語・学習サイト3選
小学校で行われているプログラミング教育では、コードを書く形式ではなく、ブロックを組み合わせるビジュアルプログラミング言語が主流です。ここで小学生にオススメのビジュアルプログラミング言語・学習サイトを3つ紹介します。
1.Scratch(スクラッチ)
スクラッチはユーザが多いビジュアルプログラミング言語の1つです。NHKの「Why!?プログラミング」でも使われています。ブロックを組み合わせて使うことができるため、ひらがなが読めれば未就学児でもプログラミング可能です。
先生が生徒のアカウントを発行して管理することも可能なので、学校の授業で利用しやすいツールだといえます。
2.プログル
プログラムは授業で使えるプログラミング教材であり、算数や理科の授業で活用可能です。たとえば、算数の多角形をどのように作るのかを、手順を追って学ぶことができます。
ドリル形式で進んでいく教材であり、プログラミングとしてもスクラッチと同じように、ブロックを組み合わせるものなので使いやすいといえます。
3.MakeCode(メイクコード)
メイクコードはMicrosoftが開発提供しているプログラミング言語です。マインクラフトをブロック型のビジュアルプログラミング言語で動かすことができます。マインクラフトはパソコン版を購入する必要がありますが、「Code Connection for Minecraft」は無料で利用できます。
マインクラフトが好きで、マインクラフトをプログラミングで動かしてみたいという方には、オススメです。
自治体間・学校間での格差が出てくる可能性大
現在、プログラミング教育は小学校でスタートしていますが、自治体間や学校間で大きな差が出てきています。今後、どのような内容でプログラミング教育を実施したかの調査結果も出てくると思いますが、通っている学校や住んでいる自治体によって差が出ないように、プログラミング教育の実施内容についてしっかりと精査していく必要があるのではないでしょうか。
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